マイクロ法人ラボ

はじめてのマイクロ法人設立・運営ガイド

4. スケジュールでわかるマイクロ法人の運営ルーチン

1. はじめに

マイクロ法人をスムーズに運営するためには、スケジュール管理が欠かせません。毎月行う業務を把握し、定期的に実施することが大切です。また、年間スケジュールを計画的に進めることで、手続きや税金の支払いなども余裕を持って対応できます。  

私自身、最初は手探り状態でしたが、月次のルーチンをしっかり確立することで、運営の負担を大幅に減らすことができました。この記事では、月次スケジュールから始めて、続いて年次スケジュールを紹介していきます。「これからマイクロ法人を運営したい!」と考えている方に、少しでも参考になれば嬉しいです。

2. 月次スケジュール

マイクロ法人では、毎月定期的に行う業務があります。このルーチンをしっかり守ることで、後々の手続きがスムーズになります。

 ■ 給与の支払い

法人運営では、役員報酬(給与)の支払いが基本です。支払日は会社で自由に決められますが、私は「当月分を当月末日に支払う」ルールを採用しました。  

 **例**  
4月分の給与は4月末に支払う。  

給与の支払いは法人運営の重要な基盤なので、忘れないようスケジュールに組み込みましょう。  

 ■ 社会保険料の支払い  

社会保険料は、毎月の給与額に基づき計算され、翌月末までに支払います。年金事務所から送られてくる納入告知書を確認し、期限内に納付します。  

- **例**  
  - 納付目的年月:令和6年4月  
  - 納付期限:令和6年5月31日(末日が土日祝の場合は翌営業日)  
  - 納入告知書発行:令和6年5月20日頃  

告知書に「期限内に完納されなかったときは延滞金が発生します」と記載されているため、支払い漏れには十分注意が必要です。私は毎月リマインダーを活用して、支払いを忘れないよう管理しています。

 ■ その他の月次業務  

 - 会計データの記録:領収書や経費の支払いを会計ソフトに入力。  
 - 資金繰りの確認:法人の口座残高をチェックし、必要に応じて資金移動を行う。  

月次スケジュールを定着させることで、法人運営における基盤が整います。これらをきちんと行うと、年次の業務もスムーズに進められます。  

3. 年次スケジュールの例(3月末が期末の場合)

月次の業務をこなしたうえで、次は年間スケジュールの流れを把握しましょう。
年次スケジュールでは、主に税務や社会保険関連の重要な手続きが含まれます。

4月:新年度スタート!
新しい年度が始まると、法人運営に必要な手続きがいくつかあります。

  • 税務署や年金事務所への届け出
    初年度の場合、「法人設立届出書」や「給与支払事務所等の開設届出書」などを提出する必要があります。(注:これらは設立初年度のみの手続きです。2期目以降には不要です)
    私の場合、『Money Forward クラウド会社設立』を利用したので必要書類を整えるのが非常にスムーズでした。

7月:税務署や年金事務所への提出

7月は以下の手続きを行います:

  1. 源泉所得税の納付(「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」提出)
    役員報酬に対する源泉所得税を納付します。
    私の場合
    会社設立時に「源泉所得税の納期の特例」を申請していたため、税額が0円でした。

  2. 算定基礎届の提出
    年金事務所に社会保険料の標準報酬月額を届け出ます。この月額は年度ごとに見直されるため、忘れずに対応しましょう。
    私の場合
    給料が45,800円/月のため、標準報酬月額は「健康保険:58千円」「厚生年金:88千円」に決定(当初設定から変更なし)しました。

12月:年末調整の準備

年末調整の準備として、社員(自分を含む)に扶養控除や保険料控除の申請書を記入してもらいます。私は一人で運営しているため、書類の準備が簡単に済みました。

1月:年末調整のまとめと報告

1月には、年末調整の結果をもとに次の手続きを行います:

    • 源泉徴収票を作成し、社員(自分)に渡します。
    • 税務署に、給与所得の源泉徴収票などの法定調書を提出します。
    • 税務署に、「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」を提出します。
    • 社員(自分)の住む市区町村に、「給与支払報告書」を提出します。
    • 法人登記している市区町村に、固定資産の情報を申告するための「償却資産申告書」を提出します
      私の場合
      10万円以上の備品がなかったため、「当該資産なし」で提出しました。

2月~3月:決算準備 

決算期が近づいたら、領収書や会計データの整理を行います。freee会計を利用し、日々の入力をしっかり行っていたおかげで、大きな手間をかけずに準備が完了しました。

4月~5月:決算報告と税金の支払い

    • 決算の書類をまとめ、税務署に提出します。法人(所得)税の支払いも必要です。
    • 決算の書類をまとめ、法人登記している都道府県及び市区町村に提出します。法人住民税の支払いも必要です。

    • 私の場合
      1期目が赤字となったため、
         法人所得税:0円
         法人住民税 均等割:71,000円(通年)
      を支払いました。
      赤字の場合でも、法人住民税の均等割(71,000円)は必ず支払う必要がありますので、事前に準備しておきましょう。

4. よくある質問

■Q1: 決算スケジュールはどう決めれば良いですか?

A1:決算月は法人設立期に自由に選べますが、年度末の3月や12月など税理士が忙しい時期は避けた方が良いといわれています。

体験談:

正直、自分で決算申告できるかどうかが不安だったため、3月末や12月末は避けることにしました。

また、個人的に旅行やアウトドアが大好きなため、春や秋のいい時期はなるべく取っておきたい気持ちから、冬に入ってだんだん天候が悪くなる11月末を決算にしました。
設立が4月ということで第1期が短くなってしまいますが、それは受け入れることにしました。

結果的には、
● 決算業務を複雑化しない
● 業態を資産運用1本に絞る
● 交際費を使わない
● 償却資産を持たない
● お金の出入りを減らし仕訳をシンプルにする
ことで、会計ソフト(freee会計)や決算申告ソフト(全力法人税)の力を借りて、2週間で、すべて自力で決算申告(納税まで)を終えることができました。
(決算申告の作業手順を理解すれば、実質2日間で終えられる作業量だと思います。)

また、年末調整の作業と同時並行で進めることもできるため、結果として「11月末決算に設定してよかった。」と思っています。

Q2: 税務署への提出書類の期限は?

 A2: 決算が終わってから2カ月以内に申告する必要があります。具体的な期限は必ず確認してください。 

Q3: 忙しいときに提出を忘れた場合はどうなりますか?

 A3: 期限を過ぎると延滞税や罰金が発生することがあります。忘れないようスケジュールに書いておきましょう!

5. おわりに

マイクロ法人運営では、月次・年間スケジュールをしっかりと立てることが鍵です。スケジュール管理が整っていれば、運営の負担を軽減し、安心して対応できます。

私自身、最初は不安でしたが、ツールを活用しながら少しずつ慣れていくことができました。焦らず一歩ずつ進めていけば、自分でもしっかり運営できるようになります。

これからマイクロ法人を運営する方も、ぜひ自分のペースで挑戦してみてください!